そもそも琵琶という楽器は、ペルシャ起源(バルバド)といわれています。
奈良時代に日本へ、中国からシルクロード経由で入りました。
ギター、リュート、とビーパなどは同じ起源です。
平家一門の栄華と滅亡をえがく平家物語は、琵琶法師の語り(平曲)が媒介となって
テキストが成立したと考えられています。
千年以上の琵琶の歴史の中で、あの世とこの世の
媒介者としての役割を備えた中世の盲人(座頭)琵琶は16c頃より、三味線音楽に転向
(奥浄瑠璃・津軽三味線など)、本流は戦後その役割を終えたかのように途絶えました。
筑前琵琶は明治以降に成立・発達した柔らかな音色を特徴とした新しい琵琶ではあります。
鶴山氏の表現の中には現在(筑前)の枠を超えた、いにしえの妖しい言霊世界が垣間見られ、
他界との交信を誘っているように思えます。